ベランダチルタイム -ショートショート-

ベランダで話す男女2人の会話の妄想

Night14.『心の広さは我慢強さ』

ガラガラ

 

シュッ

 

フー

 

女「究極の2択問題って好き?」

 

男「 あー友達同士で暇なときとか居酒屋でふとした時にそういう問題出 すくだりってあるよね。好きか嫌いかなんて考えたこと無いけど、 たぶん好きだよ」

 

女「そうそう。例えば、『付き合うなら広瀬すず広瀬アリスか』 みたいな。あれってさ、 どっちを選択しても相手に敬意を表する必要がある2択にしないと ダメじゃん?」

 

男「難しい言い方だけど、、、まあ、どっちかを選んでも、 選ばなかった方もいいよねってなるべきだね」

 

女「そう。天秤に乗せられた両者を称えるべきで、 優劣をつけるべきじゃない。数人で究極の2択問題をして、たとえ 1人しか片方の選択をしなかったとしても、 馬鹿にしちゃいけないもの」

 

男「うん、分かるよ。それがどうしたの?」

 

女「人生って全て2択だっていう言葉を聞いてさ、なんとなく2択 問題を思い出した」

 

男「ほう、つまり?」

 

女「人生において誰かがどういう選択をしようと、 それがたとえ間違ってるって自分で感じることだろうと、 咎めたり、仲間外れにすることっていけないのかなって。 その人の人生だしその人の考えとかバックボーンがあっての選択だ からさ。『spotifyにするかAppleMusicにするか 』なんて単純な2択にも。その選択に至るまでは自分でも意識出来ない何かしらの理由が含まれてると思うの」

 

男「大多数の人と少し外れた違うレールに乗ることを悪だとか、 社会不適合者だとかとする風習は確かにあるね。かといって、 敷かれたレールに沿ってるだけの人生を上から目線で見下す人もい る。自由な生き方に憧れつつも、 そういう自分の憧れの人生を歩んでる人には失敗を望んだりもするし。イタいとかサブいとか、微かな嫉妬をそんな言葉でまとめようとする 」

 

女「そう。隣の芝生は青く見えるし、赤く染めたくもなる」

 

男「歌詞みたいだね」

 

女「GEZANとかが歌いそう」

 

男「MOROHAもありえそうだね」

 

女「まあそんなことはどうでもよくてさ」

 

男「つまり言いたいことは?」

 

女「人生における選択って難しいなってことかな。自分自身はもちろん、他人の選択でも。干渉するのは良くないこともあるけど、やっぱり友達とか親しい人の人生は気になるもの」

 

男「もし僕が、大学を卒業したら外国にバックパッカーしに行くって言ったら、どうする?」

 

女「頑張ってね、応援してる。って言うかな。もちろん、あなたのその意思が固いことが前提でね。バックパッカーしようか迷ってるって感じなら、正直何も言えない。背中を押すことも後ろ髪を引くこともできない。だけど、どっちの選択をしても幸せになれることを願ってる」

 

男「なるほど。そう言ってくれると気が楽になるね。変に期待されても、失敗するからやめた方がいいって止められても、納得はしないと思う」

 

女「自分を低く見積もって、自分に対する期待値を下げれば、なんでもできるものよ。YouTubeにしてもブログにしても歌を出すにしても、ファッションをインスタに投稿するにしてもなんでもね。けど自信を持つことは大事」

 

男「バカにされたりするのは怖くない?」

 

女「バカにしてくる人はだいたい何もしてない人。何かしてる人に対する嫉妬の気持ちは少なからず1%は入ってるの。私はそう考えるようにしてる」

 

男「心が広いんだね」

 

女「我慢が上手いだけ」

 

ジュッ

 

ガラガラ